「正続・社長道中記」
昭和30年代に人気だった小説家の中に、源氏鶏太がいます。
サラリーマン小説をよく書いており、当時のモーレツ社員の間で、大変人気がありました。
そんな大人気だったサラリーマン小説のひとつ、「随行さん」が、今回ご紹介する映画「社長道中記」の原作です。
すでに、源氏氏の原作で作られた映画「三等重役」がヒットしたこともあったので、再び源氏氏の原作が映画化されたのだと思います。
今回の「社長道中記」も、シリーズの中でも上位に入る秀作だと思います。
小説のタイトルになっている「随行さん」とは、社長の旅先の身の回りの世話をする秘書、随行社員のことです。
缶詰めを販売する太陽食料社長(森繁久弥)は、業績の悪い大阪支社にハッパをかけに出張に出向きます。
この社長、“浮気の虫”で、バーのマダムなど外に多数の女性がいます。
社長夫人はこれを戒めようと、出張には堅物の社員を随行させるように営業部長(加東大介)に命じます。
こうして、出張に随行することとなった堅物社員(小林桂樹)と、浮気をしたくてたまらない社長の掛け合いが、
爆笑に次ぐ爆笑を生んでいきます。
電車の中で女性の隣に座りたい社長と阻止せんとする随行社員。
入れ替わり立ち替わりしたあげく、社長のとなりがおばあちゃん(飯田蝶子!)になってしまうシーンや、
夜にマダムと2人になりたい社長があの手この手で随行社員を遠ざけるシーンは、とくにおすすめです。
極めつけは出張前に医者に頼んで精力剤を用意した社長と、眠れないと困ると睡眠薬を用意した随行社員。
薬は同じ色の袋に入っているため、映画を見ている方も「これは入れ替わって飲むな」とわかってしまいますが、
ここで発揮されるのが森繁、小林両氏の演技力です。結果がわかっていても面白い演技で、映画館で見た時はワッと凄い笑いになりました。
ちなみに、浮気の相手となるマダムの役は新珠三千代と淡路恵子です。
この手の役は大概この2人が多く、仕草や色気の出し方など最強の2人です。
浮気はいつも邪魔が入ったりしてうまくいかないので、そのたびにマダムは社長におかんむりになります。
マダム役の二人とも、こういう時の体全体を使って社長に一撃くらわせる演技は逸品ものです。
このような演技ができる女優さんは、ほとんどいないでしょう。ぜひご覧になってみて下さい。
「社長洋行記」シリーズの中でも出演者が実にのびのび演じている感じで、
初めて社長シリーズをご覧になる方には最適の1本です。
まだ新幹線が開通していない昭和36年の作品、懐かしい特急「こだま号」の姿も見ることができます。
パソコンもケータイもない、どこかホッとする作品です。是非お楽しみください。
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